GM、GS、XG規格について
MIDIが普及してから、MIDIデータによるやりとりがされるようになりましたが、各音源ごとの
音色配列や機能はそれぞればらばらでした。それゆえ、使用している音源とは別の音源で作られた
データを再生するととんでもない音色で演奏されてしまうことは当たり前でした。
そこで、ある規定を満たしていればどの音源でもある程度再生できるようにするために、
GM(General Midi)という規格ができました。ちなみに、GMでは128種類の音色を使用できます
(キャピタルバンク(BANK0)の音色がそれらです)。また、GM規格が発表される少し前くらいに、
ローランドからSC-55が発売されていました。SC-55という音源は、ローランドが提唱した
GS規格に対応した音源でした。GS規格は、少し内容を変えるとGM規格を内包できるような
規格でしたので、GM規格発表後は、GM規格を内包するようになり、SC-55もそれに応じて機能を
変更しました。ちなみに、SC-55のスペックは、パート数16、最大同時発音数24、音色数二百数十程度
でした。GS規格の音源は、SC-55を基準に発展してきましたので、GS用MIDIデータは、SC-55で再生
できるのが条件ではないかと思います。また、後にヤマハはGMを拡張する形の規格を発表しました。
XG規格です。MU50(スペックは、パート数16、最大同時発音数32、音色数七百数十程度
)という音源がXGのスタンダードとなっている様ですが、XG規格の音源中最も音色数が少ない機種
であるQY700やCS1Xは、音色数が480です。ですので、XGで規定されている音色数は480か、それ以下
なのではないかと思います。
GSもXGもGMを内包しておりますが、GSとXGとの間での互換性は保証されていません。GM規格以外の
音色については、使用できる音色がそれぞれ、ばらばらです。
GM、GS、XGの音色配置のイメージ
無論、これらの規格が発表された後も、各メーカーの音源は進化を続けてきました。今では、千を
超える音色数や何十種類ものエフェクト等は当たり前です。けれども、GSやXGといった規格は今でも
変わりません。GMについては、GMレベル2という規格ができたのですが、まだあまり普及していません
(最新機種には対応しているものも多いのですが。GM対応といえば、GMレベル2の前のGMレベル1と
考えていいです)。
前記のように、音源は進化を続けてきたのですが、同じGS規格の音源での互換性はどうなのか、
あるいはXG音源同士ではどうなのか、このことについて述べたいと思います。
GS音源は、基本的にSC-55→SC-88→SC-88Pro→SC-8850という様に
進化してきました(最近では、SD-90というGS音源が発売されているのですが、これは従来の
GS音源と性格が異なりますので、ここでは述べないことにします)。
GS音源は基本的に上位互換であり、下位の音源の仕様を内包する形となっております。
各GS音源の音色数
けれども、下位互換性はありません。例えば、SC-55で作成したMIDIデータをSC-88やSC-88Pro、
SC-8850で再現することはできるのですが、SC-88やSC-88Pro、SC-8850で作成したMIDIデータを
SC-55で再現することについては、保証されていないということです。もし、そのような事を行った場合
どうなるか、そのことについて述べていきます。
1.下位音源で使用できない音色を使用していた場合
私が所持しているSC-88Proのマニュアルによれば、音源が備えていない音色が指定された場合、
直前に選んでいた音色で演奏されます。もし、音源リセットの後、このような事が起これば
ピアノの音で演奏されることになります(ドラムスの場合はスタンダードセットとなります)。
2.下位音源で使用できないエフェクトを使用していた場合
下位音源で使用できないエフェクトを使用していた場合、指定していたエフェクトは反映されない
ことになります。ディストーションのように、音色が著しく変化するようなエフェクトを使用していた
場合、想定していたニュアンスとかなり異なった演奏になってしまうのではないかと思います。
上記のように、上位音源で作ったMIDIデータを下位音源で再現した場合、作成したデータ次第では
まともな演奏にならないことも考えられます。よって、上位GS音源で作られたMIDIデータを
下位GS音源で再生する場合、あるいは、下位GS音源でも再生できるようなMIDIデータを作る場合は、
上記のことに気をつけるべきだと思います。
ちなみに、XG音源ではどうなのかと申しますと、私はXG音源の事については詳しくないので、あまり
つっこんだ事は述べられないのですが、XGもまた、上位互換の様です。しかし、GSとは異なり、
上位音源用に作ったデータを下位音源で再生しても、類似した音色を使用して再生することが可能
となっているようです。エフェクトについては、私の知識では、なんともいえないのですが・・・。
今まで、GSやXGについて、使用音色の違いを中心に述べてきましたが、最後にその他の違いについて
述べたいと思います。
1.使用可能なエフェクト
エフェクト | GM | GS | XG |
リバーブ | 特に規定はなし | 8種類 | 十種類程度 |
コーラス | 特に規定はなし | 8種類 | 十種類程度 |
その他 | 特に規定はなし | 特に規定はなし | バリエーション四十種類程度 |
エフェクトに関してはXGの方がより多く使えるよう規定されています。また、GMではエフェクトに
関する規定がされていません。しかし、リバーブやコーラスは音色を劇的に変化させるような
エフェクトではありませんので、GM対応MIDIデータ作成の際に使用してもいいと思います。
ただし、GM対応MIDIデータ作成の際には、あくまでおまけ程度と考えた方がいいと思います。
2.ドラムパートの追加
GM→特に規定はなし(追加できないものもある)
GS→エクスクルーシブメッセージを使用
XG→バンクセレクトでドラムパートに変えられる
上記の事より、GS音源とXG音源ではドラムパートの追加方法が違うので、GS音源の機能を利用して
ドラムパートを追加したデータは少なくともGSに対応していないと正確には再生できないと、
逆にXG音源の機能を利用してドラムパートを追加したデータは少なくともXGに対応していないと
正確には再生できないと考えた方がいいと思います。
他にもGSとXGには違いがあるとは思いますが、大きな違いは上記に述べたことくらいだと思います。
こうして見ると、規格としてはXGの方が優れているように思われます(後発の規格ですので、
よく練られているのでしょう)。しかし、GSの方が歴史が古く、
ユーザーや出回っているMIDIデータが多いのも事実です。また、音源そのものの性能についてはどちら
とも言えません。ユーザーの好みで決めてもいいのではないかと思います。
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